恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



...そもそも、この人に普通の恋愛を見せても理解できないのでは?

頭を悩ませていたイザベラは、ふとユリウスの様子に目を向ける。

紙をぐちゃぐちゃに丸めて、その辺に放り出しては、新しい紙にまた魔術陣を描き始めている。

...そうか。

先生と同じくらい感情が未発達な相手なら、何か掴めるかもしれない。

一縷の望みが見えたイザベラはユリウスが投げ捨てた紙を拾い上げる。


「先生、明日出かけますよ」

「...どこにだ?」


魔術陣を描くのに夢中だったユリウスが手を止め、面倒くさそうにイザベラを見上げる。


「先生のお友達がいるところにです!」

「...わたしに、そんなものはいない」

「まぁまぁ、細かいことは気にしないでください」


イザベラの不可解な言葉にユリウスは首を一瞬傾げるが、すぐに興味が失せたのか、また手元を動かし始めた。