恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで




惚れ薬を完成させなければ研究予算を凍結させられ、生活費がピンチなのでユリウスの手伝いをすることになったイザベラはとりあえず国立図書館で恋愛小説を借りられるだけ借りることにした。

古今東西、ありとあらゆる恋愛が綴られているが、なるほど、わからない。

物語的にはおもしろいのだが、主人公たちにまったく共感ができないあたり、イザベラも恋愛には向いていないことがわかった。

ユリウスはというと、つまらなそうにページを捲っては、ところどころで眉間に皺を寄せているあたり、同じような気持ちになっているに違いない。

イザベラは恋愛小説を読んで、自分なりに分析し、統計的に取ったデータを読み返す。

つまり、恋というのは多少性格に難ありの、身分の高い男性が、特定の女性に時折見せる優しさによって生まれる感情。

もしくは純粋無垢な女性が振り撒く見境のない愛に絆された男性が生み出す劣情。

そして、惹かれ合う男女に立ちはだかる障害がいっそう感情を盛り上げていくという展開が非常に多かった。

あまりの非現実的なデータを前に、イザベラは恋愛小説を参考にしようとしたことを後悔し始めた。

とりあえず、まとめた内容をユリウスに報告しようと立ち上がる。

イザベラからのデータに目を通したユリウスは眉間に皺をますます深く寄せる。