キスから始まる恋は甘くて苦い

 患部を冷やし終えると冷湿布を貼られ、今日は激しい運動をしないようにと注意を受けた。
 5日くらい経っても痛みが続くようなら整形外科を受診した方がいいと言われ、保健室を後にする。

「昼、どうする? あと15分しかねえけど」
「私は……お弁当があるから教室に戻ります」

 あわよくばとは思ったけれど、無理に誘うのも気が引ける。会おうと思えば会えるわけだし、蒼一は余裕の笑みを浮かべた。

「そっか。じゃあ、またな」
「は、はい……」

 何か言いたそうにこちらを見上げてくるほたるに首を傾ける。

「ほたる?」

 蒼一は不思議そうに彼女を見返した。
 泣くのを我慢しているのか、ほたるは唇をきつく結んでいる。

「どうしたんだよ?」

 何を思っているのか推し量れずに戸惑う蒼一。

「あの。怪我をさせてしまって……本当にごめんなさい」

 その言葉に彼はハッとした。

 まだ責任を感じてんのか?

 ほたるはメガネを外し、零れた涙を手の甲で拭った。