キスから始まる恋は甘くて苦い

「お待たせしました。……辰巳先輩?」

 壁に寄りかかり腕を組んで目を閉じていたらほたるの声がした。目を開けると、彼女の後ろに雅也がいたので内心で舌打ちをした。

「話って、なんでしょう?」
「ふたりで話したいんだけど」

 視線を雅也に合わせた蒼一がぶっきらぼうに答える。

「あ、でも……これから行くところがあって」

 ほたるは困ったように蒼一と雅也を見比べた。

「いいよ。待ってるから、ごゆっくり」

 雅也が落ち着いた声音でほたるに話しかける。それが余裕ぶった言い方にしか聞こえなくて。

「行かせねえよ。俺に付き合ってもらう」

 カチンときた蒼一はほたるの肩を抱き寄せた。

「えっ……?」

 ほたるは何が起きたのかわからず、ポカンと蒼一を見上げる。

「強引なのは感心しないな」

 雅也はいたって冷静で、その態度が蒼一を余計にイラつかせた。

「俺と一緒に来てくれる?」

 熱をそのままぶつけないよう、呼吸を整えてから質問する。