キスから始まる恋は甘くて苦い

  麻生が前生徒会長と付き合っているのか、いないのか。
 今はほたると付き合っているのか、二股をかけているのか。

 たぶん、最後のはないと思うけどな。

 勉強の合間に考え事をしていた蒼一は思わず鼻で笑った。
 そんな不誠実なタイプには見えないし、きっと本命は姉の方なんだろう。
 だから、ほたるのことも本当の妹のようにかわいがっている。そう考える方が自然だ。

 だけど、こんなのは机上の空論だ。

『本人に訊けばいい』と瞳に言っておいて、自分からは訊かないなんて情けないことはわかっている。
 でも、もしほたるの口から麻生が好きだと言われたら……想像しただけで嫉妬に狂いそうだ。

 諦めはしないけど。

 ただ、自分だけ何も知らないのは居心地が悪かった。

 当然だけど俺は蚊帳の外……か。

 知りたいけれど、知りたくないような。
 いっそ何も知らないふりでガンガンに攻めてみてもいいのかもしれない。

 でも、傷つけたくないしな。

 勉強を諦めベッドへ寝転がる。
 人を好きになることは想像していたよりも難解なことを思い知る。
 自分の想いを押し付けることは相手の重荷にしかならない。
 蒼一は、そのことを身にしみるように理解していた。