キスから始まる恋は甘くて苦い

「フラれたの?」

 背後からからかうような声が聞こえてうんざりする。こんなことを言ってくるのは、アイツしかいない。

「聞いてたのか?」
「聞こえてきたの」

 隣に並んでくる瞳を振り払うように歩き出す蒼一。

「あの子、鈍くさそうだからマネージャー向いてないんじゃない?」
「相変わらず辛辣だな」

 ちっとも変わっていない彼女に、呆れたような笑いが漏れる。

「蒼には合わないよ」
「その呼び方はやめろって言っただろ」
「呼び方くらい、好きでいいでしょ」

 瞳は逃げるように下を向いて靴を眺めた。

「まあ、どうでもいいけど」
「どうでもいいなら、あたしの勝手でしょ」

 蒼一の返しに、今度は顔を上げて反論する。

「ホント、相変わらず……」

 角を曲がったところで蒼一の語尾が途切れた。

「どうしたの?」

 怪訝そうに彼の視線の先を見やり、瞳は目を見開いた。