キスから始まる恋は甘くて苦い

「せっかく誘ってもらったのに、すぐに返事できなくて……ごめんなさい」
「いや、俺もちょっと強引だったし。気にすんなよ」

 優しく笑いかけられ、ほたるの胸がチクリと痛んで。

「せんぱ……」

 何か言わなきゃ――と思い呼びかけたとき鞄から着信音が流れてきた。
 音楽で雅也からのものであると気づき、ほたるは蒼一に会釈をした。

「すみません、もう帰らなくちゃいけないので、これで失礼します」

 そして、焦ったように駆け出してしまう。

「…………」

 急転直下とはこういうときのために使う言葉なのかもしれない。
 途端に、感じていなかったはずの防具入れの重さが肩にのしかかる。蒼一は、呆然と立ち尽くした。