キスから始まる恋は甘くて苦い

「今日はありがとうございました」

 武道館を出てしばらく歩くと、ほたるが急に立ち止まった。

「いや、誘ったのはこっちだし。……どうだった?」

 結局試合には負けてしまい、良いところを見せられなかった蒼一はバツが悪そうに頭を掻いた。

「正直、驚きました。みなさん本当に熱心で、真剣で……」
「真剣で?」

 途中で言葉を呑んだように感じた蒼一が聞き返す。

「先輩が、すごく、その……かっこよかったです」

 すると、ほたるは懸命に感想を絞り出してうつむいた。

「えっ、俺?」

 思ってもみない返答に動揺を隠せず、柄にもなく照れる蒼一。

「そう、そっか……ありがとう」

 嬉しさに、ニヤけそうになる口元を左手で覆う。

「じゃあさ、仮入部してみる?」
「あ、それは――少し、考えさせてください」

 行けそうな気がして押してみたら一歩引かれてしまった。

「あー、うん。わかった。決まったら教えて」

 気を取り直し、うなずく蒼一。