キスから始まる恋は甘くて苦い

 踏み込みで床が振動し、竹刀のぶつかる音と気合で場内は思ったよりもにぎやかになる。
 稽古が始まると、その迫力に押されてほたるは身を固めた。
 イメージしていたものとは、少し違う光景。

 女の子も凛々しいなあ。

 防具を身にまといながらも、みな軽々と飛び跳ねて。ほたるは息を詰め感心しながら稽古を見ていた。

 みんな、すごいな。

 蒼一が号令で部員たちをまとめあげ、瞳は忙しそうに動き回っている。ここには、それぞれ目標があってそれに向かって努力を惜しまない人ばかりがいる。

 私は、どうなんだろう?

 考えて、今の自分には意欲や目的がないことに気づく。

 先輩といると、見えなかったものが見えてくるみたい。

 ほたるはハッとして蒼一の動きを目で追い続けた。
 基本稽古のあとは試合が始まり、省吾はあっという間に相手を倒していた。ほたるの目から見ても経験者ということがわかるほど強かった。
 部長の蒼一はもっと強いのだろう。その彼は最後の試合になった今、顧問の先生と向き合っている。

 みんなが見守ってる。

 一礼をして前進し、竹刀を構えてしゃがみ込む蹲踞(そんきょ)の姿勢を取る。