キスから始まる恋は甘くて苦い

 紺色の剣道着と袴という、上下一色に身を包んだ蒼一がやってくると場が静まった。
 けれどそれは一時のことで、すぐに挨拶が交わされた。
 大股で歩く姿は背の高さも相まり堂々としていて、ほたるの目を釘付けにする。

 いつもと雰囲気が違う。

 背筋がまっすぐとした立ち姿は凛として、どことなく近寄りがたい。

 それに、とても――似合ってる。

 ほたるはドキドキしながら蒼一を見つめた。そのまま視線を離せずにいたらふいに目が合った。
 つま先から頭を、一瞬で熱が駆け昇る。

 なに、今の……

 初めての感覚に戸惑っている間に、蒼一が心配そうな面持ちでこちらに歩いてきた。
 彼は気恥ずかしさを隠すように微笑みを浮かべたけれど、ほたるは何も反応を返せなかった。