キスから始まる恋は甘くて苦い

「行こうか」
「はい」

 放課後、落ち合ったふたりは別館の武道館へ向かった。

「私、新歓のある前日に熱を出してしまって。部活動紹介見られなかったんです」
「えっ、そうなの?」

 ほたるが恐縮したように話し始めたので、蒼一は目を丸くした。

「やっぱり、先輩が発表したんですか?」
「ああ、まあ……形を披露しただけだから地味だったと思うけどな」
「カタ?」
「所作っていえばわかりやすいか? 決まったカタチを、木刀でさ、こう……」

 ほたるの疑問に、何とか伝えようと身振り手振りで説明する蒼一。

「なんだか、厳かですね」
「ははっ、いい表現だな」
「見たかったです」
「いつでも見せてやるよ」

 それまで笑顔を見せていた蒼一が急に真剣な表情になり、ほたるはとっさに目を逸らしてしまった。

 やだ、今のは失礼だよね……

 すぐに視線を戻すと、蒼一はまだこちらを見ていた。ドキッとしてまた逸らしそうになったけれど、メガネを直すフリをしてなんとか堪えた。