キスから始まる恋は甘くて苦い

「マジで?」

 遠慮されるんじゃないかと覚悟していたので、蒼一はホッと胸を撫で下ろした。

 先輩が、誘ってくれた。

 こんな自分に声をかけてくれたことが、なんだか夢のように思える。

 ――行きたい。

 雅也には部活は考えられないと答えたばかりなのに。

 矛盾してるよね……

 蒼一の誘いは断りたくないと思っている。

 ああ、でも、ちゃんと返事しなきゃ。

「い、行きます!」

 答えるだけなのに心臓がバクバクと脈打った。答えてから、もしかしたら社交辞令だったんじゃないかと不安になったりもした。

「よし、決まりな。放課後、昇降口の外で待ってるから」

 ほたるの心配をよそに、蒼一は爽やかな笑顔を向けてくる。不便だからと連絡先まで交換することになって。

 雅也さんから連絡があるまで、少しだけならいいよね?

 ほたるは密かに、心の中で言い訳をした。