キスから始まる恋は甘くて苦い

 そういえば、笑った顔を見たことないな。

 昨日の今日では無理もないかもしれない。でも、泣き顔ばかりを見ている気がするから……。

『笑顔を見たい』

 そんな思いが湧き上がり、ほたるをじっと見つめる。けれど、その横顔は昨日の光景を思い出させて蒼一は目を逸らした。

 ……麻生には笑いかけんのか?

 その姿を想像するだけで、胸の辺りが鈍く重い何かに支配されそうになる。

 嫉妬してんのか?

 知らず知らず眉間にシワを刻んでいることに気づき、強く目をつむる。

 パッとまぶたを押し上げ、蒼一は口を開いた。

「あのさ。部活は入ってねえの?」
「部活、ですか?」

 ほたるはいささか驚いて蒼一を見返した。昨日、雅也にも同じようなことを訊かれたからだ。