キスから始まる恋は甘くて苦い

 しばらくして路地からほたるが現れた。

「よっ、おはよ」
「わっ……お、おはようございます」

 蒼一とは裏腹に、心の準備ができていなかったほたるは文字通り飛び上がった。

「ごめん、驚かせて」
「いえ……」

 そして、はにかむ蒼一に見惚れてしまう。びっくりしたからなのか心臓の鼓動が速まっている。

 こんな風に一緒にいられるなんて、なんだか不思議な気分……

 歩き出す蒼一の後を追い、隣に並ぶ。

「今日は自転車じゃないんですね……もしかして、足が痛むせいですか?」

 ほたるは不安げなまなざしで蒼一を見つめた。

「違う違う。足はもう平気なんだ。今日は帰りに大きい荷物があるから歩いてきただけ」
「そうなんですか」

 ほたるがホッとしたように頬をゆるめ、蒼一は彼女に見惚れた。
 思いつめたような表情ばかりを見ていたからか、なおさらに可愛らしく見える。