キスから始まる恋は甘くて苦い

「ねえ、病院行った方がいいんじゃ……」
「だから、平気だっつってんだろ!」

 怒鳴ってしまったあと、蒼一はハッとして瞳を見やった。

「悪い……」

 今のは完全に八つ当たりだ。

「本当に大丈夫だから。じゃあな」

 蒼一はこの場から早く立ち去りたかった。心配してくれているのに逆ギレするのは、さすがにやり過ぎだと後悔した。
 自転車にまたがり去っていく蒼一を、瞳は複雑な気持ちで見送った。

 あんな(そう)、初めて見た。

 瞳は複雑な気持ちでため息を吐いた。

 別人みたいで、びっくりした。

 それでも、関心を向けてくれないよりはずっといい。
 同じ部の部長とマネージャーという関係上、無視はできないから必要最低限の会話はする。
 でも、それは形式的なもの。

 もう、あたしとは関わりたくないって思ってるもんね?

 瞳は自嘲気味に笑い、ゆっくりと歩き出した。