キスから始まる恋は甘くて苦い

 学校を出て左に曲がり、ふたりの姿は完全に見えなくなった。

 これは……さすがにキツイ。

 ほたると雅也が言葉を交わす横顔が目に焼き付いて離れない。

 同じメガネをしてる上に見つめ合う、とかさ……

 蒼一はその場にしゃがみ込んでしばらく放心した。

「辰巳、くん?」

 声を掛けられて振り向くと、そこには剣道部のマネージャーである真野瞳(まのひとみ)がいた。

「ああ、真野か……」

 部活動以外で話すのはいつぶりだろう?

「足、痛むの?」
「いや、なんでもない」

 蒼一は何事もなかったように立ち上がり、歩き出した。

「本当に大丈夫なの?」

 瞳は校門の脇にある駐輪場までついてきた。

「平気だって」

 自転車に鍵を差し込みながら答える。