キスから始まる恋は甘くて苦い

 あんなヤツ、高校に入って初めて出会った。

 蒼一は雅也に肩を並べるくらい女子生徒から人気だけれど、本人にその自覚はあまりない。
 今も歩いているだけで何人もの女子が蒼一を振り返っている。

「今からお昼?」

 席につき、売店で買ったパンを食べているとクラスメイトの田中が声をかけてきた。
 田中は1年生のときに同じクラスだったけれど、そのころに比べて印象がずいぶん変わった。
 目立つようになったというか、雰囲気がどことなく誰かに似ていた。

「見ての通りじゃね?」

 蒼一は面倒くさそうに、質問とパンを一気に片づけようとする。

「ねえ、今朝女の子と登校してたでしょ?」

 空気を読まず、ゆるくうねった髪を耳にかけながら意味ありげに話を続ける田中。

「……そうだな」

 仕方なく慎重に答える。変にごまかすと後々つじつまが合わなくなって面倒なことになりかねない。