全てあなたに捧げるために

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「…………デジャヴ?」

目の前で、呆れた声を出される。

「やめてよ〜上手くいってるんじゃないの?」

背もたれに身を投げて、声をあげる来栖桂華。

「桂華が言うってことは、この間のお見合いで似たような話をしたんだね。……まあ、割と昔から翠が絡むと、透雅はこんな風になっていると思うけど」

荒れた桂華を見て、淡々としている東雲凪。

「翠は鈍感だし、頑なだからね。仕方が無いよ。あの虐待同然な躾を受けてきたんだ。深く愛してくれていた、優しい両親から無理やり引き離されて」

「……」

「何とか契約結婚には持ち込んだんでしょう?水無瀬の爺さんは怒り狂っていたけど、昔から翠に直接的に連絡をとっては叱責していたことには気付いて、今は完全に距離を取らせているみたいだし」

「手元から離れてもなお、翠を追い詰めるあの爺さんには驚いたもんだけど……透雅、いつまでそうしてる気?桂華を利用して、翠を囲い込むの?」

「……そんなことをした暁には、桂華の家と関係が悪くなる」

「あら。よく分かっているじゃない。私、両親にこれでもかってくらい愛されているもの。透雅、半殺しじゃきっとすまないわ」

「でも、桂華のおじさんとおばさんも、拗らせまくった透雅の初恋には理解示してるんでしょ?」

「うん。だから、此度の契約結婚の時、直接的に何かしてくる輩がいなかったでしょ?御三家が守ろうとしている子に、手を出すなんてことをしないわ。だから、この間のパーティーの時、水無瀬の爺さんだって、大人しく透雅のおじさんの後ろに控えていたじゃない」

それをいい事に、透雅から翠を奪い、女子会を開いていた桂華は『透雅のそばよりも安全だもの』なんて言って、翠と楽しそうに笑いあっていた。

それはそれで腹が立つが、水無瀬の爺さんが仕えている桐生家よりも、来栖家である桂華のそばにいた方が、水無瀬の爺さんは接触できないことは正しく、透雅には苛立ちだけが残った。