全てあなたに捧げるために




「……きっと、反対されますよ」

「ハハッ、由緒正しき、昔から有能な執事を多数輩出し、この家を、俺達を支え続けてきてくれた血筋のお前を?」

「あまりに、身分が違いすぎます」

「そうか?今の時代、そんなこと気にしねぇだろ」

「透雅様!」

「俺が決めたんだよ。─お前は、俺のだろ」

一方的な物言い。確かに、その通りだが。

「っ……」

頬に触れる、彼の長い指。こちらを見る、優しい目。

「翠、課題するぞ」

「……はい。先に、片付けを済ませますので、透雅様は」

「ん」

ティーポットとティーカップをトレイに載せて、部屋から足早に出る。

「……冗談で、結婚とか言うかよ」

透雅様が何か呟いていらっしゃったが、翠の耳には届かなかった。