「?、透雅様」
「翠のことだから、ここに入ると思った。おまえ、部屋のドアプレート見てないだろ」
呆れたように言われ、確認しに行く。
そこには、英文字で【Powder ROOM】と書いてあった。
そして、その下に【SUI】と。
「……なんですか、この部屋」
「メイクするだろ?だから、おまえ専用のパウダールームを作ったんだ」
「しますが。……え、待ってください。じゃあ、透雅様のお部屋は」
「向こう。おまえの部屋の真向かい」
指差されたのは、リビングルームを出て、この翠専用のパウダールームの前を通り過ぎた先。
「位置的には、翠の部屋はパウダールームの横並びだよ。─ほら、おいで」
混乱したまま、手を引かれる。
そして、少し歩いた扉の前。
「ここ、ここが俺の部屋。んで、この真向かいの扉の部屋が翠の部屋」
そう言いながら、翠の部屋の扉を開ける。
「……え、パウダールームにある、あの大きなベッドはなんなんですか!?」
「ん?……あー、一応、客室も兼ねてな」
「客室」
「急な訪問とかあっても、対応しきれないだろ」
「……なるほど?」
翠の部屋の中は、先程のパウダールームとはまた違う、おしゃれな家具が揃えられていた。
白基調で、圧迫感がない可愛い部屋。
本当に、屋敷の無機質な自室がかき消されてしまう。
ひとりで寝るには少し大きめのベッド、大きめの本棚には翠が好きな本がずらりと詰められており、小さめのクローゼットには、小物が収納出来るケースがぎっしり。
おしゃれな観葉植物や、壁に掛けられた絵。
ドレッサーに、テレビに、仕事ができるようのデスク……広い部屋に詰め込まれた家具は全て、翠の生活に役立ちそうなものばかり。
「中の小さな扉、開けてみ」
「扉?」
クローゼットの横、その扉を開けると。


