全てあなたに捧げるために

o,+:。☆.*・+。



「……ん…」

目を醒ます。手には、ぐちゃぐちゃになったシーツ。

「最悪…………」

あってはならない失態だ。─やってしまった。
寝不足だったから、気が抜けてしまったんだ。

いくら主人がお見合い中だからって、気を抜いていいわけじゃないのに。

(……ああ、でもまだ、お見合い中か)

懐中時計で時間を確認して、翠は安心した。
もしとっくに終わっていて、彼が探していたら。
彼の要望に応えられなかったら、自分は執事失格だ。

(今日の御相手は、来栖家の来栖桂華様……)

─昔の夢を見た。桂華様は昔と変わらず、とてもお綺麗で。
透雅様とは幼なじみで、同じ年齢で、お互いのことを知り尽くしていて、同じ御三家で。
並んでいて、とてもお似合いだった。

─……お見合いも、いつもより長い。
きっと、話に花を咲かせているのだろう。

それに寂しさを感じているのは、翠の身勝手さ故だ。
目元がピリついて、眠りながら泣いていたなんて。

(……望んでならないと、何度も)

相変わらず、自分の欲深さが嫌になる。

(どうして、こんなにも寂しいのだろう)

そばに居たかった。必要として欲しかった。
手を差し伸べられて、お役に立てると喜んだ。

それだけじゃ足らなくなるなんて、あの日、彼の専属執事になった時は全く思わなかった。

不相応なものを欲しがってはならないのに。
だから、壊れてしまうのだと知っているはずなのに。

私は何も欲しがっちゃいけないのに、
どうして、どうして、こんなにも寂しいの。

見たくないものを見たとしても、
透雅様のそばに居続けることを決めたのは自分なのに。