再会〜中堅保育士はイケメン年下男に翻弄される〜



世界一会いたくない人と、マッチングしてしまった。



カフェに先に到着した永岡 雪《ながおか ゆき》は、うきうき注文したアイスコーヒーを堪能しながら相手を待っていた。
しかし、彼が雪の席に着いた途端固まってしまった。



「……「雪さん」?「ゆうき」?…久しぶり」



雪の向かいの席にやってきた男は、
とてもイケメンだった。

くりくりの大きな瞳に通っているが主張の少ない鼻、薄い唇。
茶色っぽい髪も瞳も、染めたりカラコンで人工的に手を加えていない天然だ。

薄い水色と白の細かいストライプのシャツにジーンズ、革のサンダルというちょっとした服装も様になる、
恵まれた容姿の持ち主。


そして、雪が忘れたくて忘れたくて、
忘れられない顔だった。


彼の方も、雪を見て大きな瞳を更に見開き
状況を飲み込んで困惑気味に椅子に腰掛けた。


女性に人気のゆったりした居心地良いカフェは、
男が指定し予約してくれた。

漠然と、レディーファーストで少し女性慣れした紳士なのだろうと感じていた。



でもこの男なら話は別だ。
向かいの男、「夏《なつ》さん」の理想像はガラガラ崩れ去った。



「ねぇ。ゆうきじゃなくて、雪なんだね、名前。
…何でずっと教えてくれなかったの?」


唐突な質問に、雪は詰まる。


「…あの…この顔合わせはなかったことに…」


質問に答えず雪はボソボソ申し出る。

失礼な雪に、「夏さん」も嫌そうな顔をする。
その顔のまま、ちらっと
雪の飲みかけのアイスコーヒーに視線を向けた。


「あ、帰りますか?ほんと遠慮なく。さようなら」
「何も言ってない!」
「私はこれ終わったら帰るから、一人は慣れてるし気にしないでください」
「…別に気にしてない」



「夏さん」は立ち去らず、メニュー表に目を落とした。
そしてすぐに横を通りかかった店員をすみません、と呼び止め「アイスティー1つ」と注文した。


ええ、残るんだ…。
雪の方が帰りたくなってしまった。さっさと飲み干そう。