財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~


 十九時過ぎ、仕事を終えた私は、休憩室で友人数人にお金を貸してもらえないか、メールを送ってみた。
 
【ごめんね。私もお金貸してほしいくらいだよ】
【旦那の稼ぎで食べてるから、自由になるお金がなくて、貸せそうにない。ごめんね】

 すぐさま返ってきた返信に、〝やっぱりそうだよね〟と納得してしまった。
 彼女らの反応が、当然の返事だってわかってる。
 こんなお願い、誰だって困るよね。
 私だってこの手のメールもらったら、たぶん同じように返すと思うもの。
 でも、ほんのわずかでも希望があるなら……そう思ってメールしただけ。
 足掻いたところで、五億円なんてどうにもならないことくらい、わかってる。
 行き場のない感情がこみ上げてきて、視界が涙で滲んだ。

 泣いてる場合じゃない。まだできることがあるはず。
 生命保険や個人年金を解約したら、少しはまとまったお金になるかもしれない。
 私はすぐさま、保険会社の担当者に電話をかけた。
 すると、「出先なので折り返し連絡します」と言われてしまった。
 私はいてもたってもいられず、担当者へメールを送ることにした。

【突然で申し訳ありません。急にお金が入用になりまして、生命保険と個人年金を解約したいのですが……】

 全て解約したところで、利息にもならないかもしれない。
 それでも、何もせずにはいられなかった。