財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~


 テレビから『今年のGWのお天気は……?』と流れてきている、四月下旬の月曜の朝。
 出勤前の慌ただしい時間に、リビングから聞こえてきた会話に、私は思考を一瞬で凍らせた。

「……倒産って、どういうこと!? それに五億円って……?」

 私は、思わず声を張り上げていた。
 父と、父が経営する会社の従業員が、深刻な顔で話し合っていた。

「随分前から資金繰りが悪化していて……もう限界かもしれない」
「……そんなぁ」

 倒産──その言葉が胸の奥に重く沈んでいく。
 詳しく聞きたいのに、時計は出勤時間を容赦なく刻んでいた。

「帰ってきたら、詳しく聞かせて。とりあえず、行ってきます」
「気をつけて、行っておいで」

 父が浮かべた笑顔の裏に、きっとたくさんの想いが込められているのだろう。
 いつもの朝の挨拶のはずなのに、今日は後ろ髪を引かれる思いで家を後にした。