Fahrenheit Ⅳ


「で?何があったのさ。まさか出張でまた柏木さんとの関係が悪化?」


「ううん、その逆。言うなよ」俺は餃子をもぐもぐさせながらビールでそれを流し込んだ。


「言わないよ。言ったって俺に何のメリットがあるってのさ」と、あっさり。あまり興味がなさそうだ。


そうだよな、こいつはそういうヤツだ。


やっぱ黒桐。


「お前Contradiction.Coって知ってる?通称CC」


「知らない」とこれまた即答。


ってことはCCが株を買い取ったことも知らないってことか。


俺は携帯でHPを見せると桐島は眉間に皺を寄せ『益々分からない』と言う表情を浮かべた。


「じゃぁこの男は?」とジェイク・ダリスの顔写真を見せると


「ああ、この人なら本社の廊下ですれ違ったけど。確か……会長と柏木さんと一緒だった気が…」


「本当か!それどっかに出かける感じだった?」


「さぁ、よく分からないけれど、柏木さんとこのアメリカ人の彼、英語で会話してたし」


「その時の様子どうだった?」


「様子?」桐島は何が言いたい?と言う感じで目を細めて俺を見てきた。


「何か親し気だったとか。初めて会った感じじゃなかったとか」


「そんなの分からないよ。すれ違ったのは一瞬だったし。あ…でも…NYcollegeがどうのこうのとかちらっと聞こえた気が…」


そうだった。瑠華とジェイク・ダリスは同じ大学出だ。


だが共通点がそれだけじゃ瑠華とダリスが手を組んだ証拠らしい証拠はない。


だけど今回ダリスが手を引いた理由。そこにはCCを飲み込む程大きな闇が存在しているのは確かだ。


CCをも飲み込む程の巨大な力―――


やはりヴァレンタインが関わっているに違いない。