Fahrenheit Ⅳ


啓があたしの髪の中に手を入れ撫でながら、露わになった胸に手を這わせる。


「瑠華―――」


愛おしそうに、切なそうに名を呼ばれ涙が出そうになった。


啓は性急に自身の浴衣も脱ぎ去ると、あたしたちはほぼ裸に近い形で抱き合った。


その後の情事は情熱的であり、愛おしくもあり、動物的でもあった。


まるで繁殖期の動物のようにあたしたちは久しぶりに激しく、抱き合った。


セミダブルのベッドの上、余裕はあったがそれでもあたしたちはきつく抱きしめあったままずっと見つめ合っていた。


時折、啓があたしの額に掛かった前髪を救い上げたり、額にキスをしたり。


いつの間にか時間は深夜の0時を過ぎていた。


改めて


「ハッピーバースデー」と言われ、何だかくすぐったくもあった。だって、ここ数年親と心音意外、誰かにそう言われることなんてなかったから。


「生まれてきてくれてありがとう。出逢えて本当に良かった」


「そんなこと言ってくれたの、はじめてよ」啓の頬に手を当てるとまだ情事の後の熱が残っているのかいつもより熱かった。


「今日だけは―――このまま一緒にいさせて?身勝手なこと言ってるって分かってる。だけど今日だけは―――」


啓ははあたしをきつく抱きしめながら、


「一緒に寝たい。ごめんな、不甲斐ない俺で。勝手に別れを告げて、でも瑠華を忘れられなくて、瑠華は俺の誕生日に贈り物をしてくれたけけど。俺ができるのはこれが精一杯。何も出来なくてごめん。ただ一緒に―――」


「啓―――」


眠るのが勿体ない。


言葉なんて要らない。


ただ視線と視線を交合わせて。