Fahrenheit Ⅳ


それから料理を追加したり飲んだりで二時間程経ってホテルに帰ることにした。


佐々木は一杯しか飲んでなくて珍しく酔ってない。


「だって温泉付きだって言うじゃないですか~、僕温泉大好きなんですよ~。酔っ払って入れなかったら損じゃないですか」


「私、温泉はじめてです」と瑠華が言いだし


「「え!?」」俺と佐々木の声が重なった。


でも考えてみればそうだよな。平日…時々休日出勤もしている仕事漬けの瑠華が旅行に行く暇なんてないだろうし、


「お肌つるつるすべすべになりますよ」と佐々木が瑠華に説明。いつもより明るいのはやっぱりちょっとアルコールが入ってるからなのか。


俺は知っている。


瑠華の肌はボディークリームとかでいつも丁寧に手入れされていてその手触りはサラサラですべすべで心地いいんだ。ボディークリームの香りなのかほのかにいい香りが香って来るし。


でもそれを知ってるのは俺だけ―――と思いたい。


ホテルに戻ってスーツを脱ぐと急に色んなことから開放された気がした。部屋に用意されていた濃紺の浴衣に着替え、佐々木と一緒に最上階にある露天風呂付大浴場に向かった。


すると偶然にもエレベーターホールで小豆色浴衣姿で髪を軽く結った瑠華と出くわした。