Fahrenheit Ⅳ


瑠華は今日、奈良支社で来ていたスーツジャケットのセットアップとV開きの白いカットソーと言う姿から私服に着替えたのであろう、黒いジャケットだけは変わらなかったが、その下は淡いフラミンゴカラーのレースのカットソー、ボトムスはは黒い膝上の短いスカートの上、上品なロングのチュールレースの裾が広がるスカート姿だった。手にはGUCCIのバッグとコート。


誰と電話をしていたか、突っ込まれたら何て答えるべきか悩んだが、瑠華はそれに関して何も突っ込まず


「少し早くロビーに着きそうです。お二人はごゆっくりどうぞ」と言って颯爽と行ってしまった。


嗚呼、何だかフクザツ。


知られると恥ずかしいけど、無関心にされるのも寂しい。


部屋に戻ると佐々木も出かける準備をしていて


「誰に電話していたんですか?もしかして彼女?」と探るように聞かれた。


「まぁ?そんなもんだ」


言えねぇ。寂しくて猫を飼い始めて、しかもその猫の名前に好きな人の名前をつけてるなんて…


ロビーで瑠華と合流して少し歩いた所にちょっと小奇麗な居酒屋を発見したからそこに決めた。しかもタバコも席で吸えると言う。イマドキ珍しい店だ、ありがたい。月曜日だけあって店は空いていたからすぐに入ることができた。


「はーお腹すきました~」佐々木が腹をさすって深くため息。


まぁ行きのSAでおでんを少し食べただけだし、瑠華に至ってはソフトクリームだけだ。


まずは生ビールで乾杯。


その後は明太餅入りだし巻き卵と、串カツの盛り合わせ、刺身の盛り合わせは佐々木が選び、タコとわかめの酢味噌和え、トマトと卵の炒め物は瑠華がチョイスした。


「は~疲れましたねぇ」と佐々木がビールを口につけ、ちょっとため息。


「そうでしたね。流石に5時間の運転は大変ですね。でも明日は帰るだけですし、多少はゆっくり出ても大丈夫でしょう」


また明日もあんな怖い思いするの?それならぶっ通しで俺が運転した方がまだまし。もうすでに泣き出したくなった俺。


タバコを吸いながらビールを一気に半分程飲んでいると、瑠華のビールはもう殆ど底が見えていた。


相変わらずすげぇな。


「疲れた時のビールは最高ですね」


そ、そうね。