Fahrenheit Ⅳ


車を走らせ渋谷のICからまずは高速に入り、そこから一時間半程走らせて、最初の足柄SAで休憩を取ることにした。


タバコも吸いたいし、コーヒーも飲みたい。


俺と瑠華が喫煙コーナーでタバコを吸っている間、佐々木がコーヒーを買いに行ってくれた。


喫煙所には俺たちと同じようにいかにも出張と思われるサラリーマンや夜中走ってきたのかトラックの運ちゃんが居た。


完全な二人きりじゃないけれど、それでも


久しぶりの二人きり……


キマヅイけど嬉しい。


「さ、最近どぉ?」と俺はタバコを取り出している瑠華に話しかけ


「どぉ?と聞かれましても、何がって感じですが」とそっけなく答えが返ってきた。


「あ……ユーリと紫利さんと仲良くしてるかな~って…」


「仲良くしてますよ。ああ、あなたが買ってくださったシルバニアファミリー、ユーリのお気に入りでして、毎日紫利さんと遊んでいます」瑠華の口元に淡い笑みが浮かんだ。


それを聞いただけで胸がいっぱいになる。


「あんなにたくさん買ってくださりありがとうございます」と瑠華は頭を下げる。


「ううん、俺にできるのはあれぐらいしかできないし」とちょっと顔を伏せると






「ユーリが啓との子供だったらどれだけ良かったか」





と瑠華がぽつりと漏らし、俺はガバっと顔を上げた。


そ、それってまだ俺のこと好きだって言ってくれるってこと!?


ライターを握る手が震えて、なかなか火がつかない。風は少し強いがつかないぐらいでもないのに。


すると瑠華が自身のライターで火を点すと俺の元に持ってきてくれた。


昔、キャバクラとか言ってとき女の子がよく点けてくれたが。


それとは違う!


風よけで瑠華が掌を広げていたが炎がゆらりと揺らめいた。その揺らめきが瑠華の心の揺らめきのように思えた。


少し、気を許してくれたってことだろうか。


「あ、ありがと!」声がひっくり返った。みっともねぇ。


そんなとき佐々木が三人分の缶コーヒーを持って現れた。


「はー、寒いですねぇ。温かいコーヒー飲んで温まってください」


気遣いは嬉しいが、今じゃねえんだよ。と、顔に出ないように気を付けて


「おー、サンキュ」と言って俺はブラックの缶コーヒーを受け取った。素手でそれを受け取ると思ったより熱くなかった。


佐々木は、どこまで話を聞いていたのだろう。