20XX年 1月 16日 月曜日
この日はいつもより少しだけ遅く出社した。何せこの後長時間の運転が待っている。少しでも体力温存は必要だしな。
俺が出社すると、同じく出社したばかりの瑠華がシルバーの小ぶりで、これまた嫌味じゃない程度のフェンディのロゴが入ったスーツケースを隣に、先日見た少しゴージャスな襟元のファーとカシミアのマフラーが一体化したピンクベージュのコートを着たまま、私服姿の瑞野さんと何やら喋っていた。
瑞野さんは完全な私服でコートもなく、アイボリーホワイトのレース素材のワンピース姿で、瑠華より早く出社したと見れる。
「おはよー」と挨拶をしていると
「おはようございます!」と背後からこれまた元気な声で佐々木が少し多き目なボストンボッグを提げて登場した。
「皆さん、おはようございます」と瑞野さんが丁寧に挨拶した。
「おはようございます」と瑞野さんと瑠華の声が重なった。
「部長、こちら社用車借用の書類です。使用承諾書と、車のキー。こちらは利用目的書、どちらにどのよう目的で行くかと言う書類、同乗者の有無、その他安全運転承諾証と、こちらは運転者の自署書類です。書けるところはあたしが書きましたが自署は流石に部長に書いていただきたく。あと社用車は禁煙ですのでお気をつけください」
流石仕事ができる瑞野さん。三枚の書類と車のキーを手渡され、俺は運転者の欄に自分のサインをした。
同乗者の欄はすでに瑠華の名前と佐々木の名前が書かれている。
「ありがとう、助かるよ。こういう細かいことはいつも佐々木に任せてたけど」と言うと
「すみません、ちょっと最後の忘れ物がないかと確認してたら遅くなって…」と佐々木が肩を縮こませる。
「いや、大事な出張だ。忘れ物は困る。特に書類やPCはな」と言うと佐々木は少しほっとしたように胸に手を当てた。
瑞野さんの手伝いもあり、俺たちはだいぶ早く出発できるようになった。時間は7時半。
俺と瑠華、佐々木が下に降りる為、それぞれスーツケースとボストンバッグを持ってエレベーターを待っていると
「おっはようございま~す」と、二村がご機嫌に出現した。
出たな二村。
しかし今日はいつのなくご機嫌なのが気になった。



