Fahrenheit Ⅳ



「じゃぁこれを」と殆ど何も考えず答えていた。店員はにこにこ顔で「ではお包みしてきますね。そちらのソファでお待ちください」


促されたブルーのソファに腰掛けると


「え!いいんかよ!値段見たのか?60万超えだぞ」と裕二が他の店員に聞こえない程度で小声で俺の脇腹を叩く。


「いいんだよ。俺がしたことを考えたらこれぐらい安いもんだ。物で吊るのは好きじゃないが、今俺にはこれしかできねぇ」


「だけどなぁ、柏木さんがこれで喜ぶとでも?逆効果じゃね?」


「まぁまぁ啓人が納得すればそれでいいんじゃない?大事なのは本人の気持ちだし」と綾子が裕二を宥めている。


綾子ぉおおおお


と言うわけで60万超えの腕時計をGETだぜ!


これを迫る瑠華の誕生日にプレゼントできれば。瑠華の誕生日の1月17日は幸いにも出張日だ。午前0時に佐々木にバレないように瑠華の部屋を訪ねて……


遠い奈良なら二村の目を気にすることもない。


そこで俺の本心を打ち明けられたら。と、悶々と想像てか妄想をして


カードで支払いを済ませて、俺は付き合ってくれた礼と言うわけで二人を近くの旨いと評判のちょっとお高めの蕎麦屋に連れてランチをご馳走し、その後はそれぞれ別れた。


帰り際、俺は一人でペットショップに寄って猫用の首輪を買った。まだ小さなルカには少し大きいかもしれないがパステルピンクが可愛いいかにも女の子チックな首輪にオプションで鈴をくっつけてもらって、これでルカが部屋のどこに居ても分かるようにした。