Fahrenheit Ⅳ



♥Ruka♥

それから日々は流れ、あたしと啓はリモート作業と時短出勤で何とかその場をしのぎ仕事をこなした。


最初のうちは慣れないことばかりでトラブルもあったが、今は慣れた。


20XX年 1月13日 金曜日


紫利さんがキッチンで料理を作り終わって、ローテーブルに並べている最中、あたしはキッチンのカウンターでノートPCとコピーした資料を並べて仕事をしていると


「Mom, dinner's ready. Let's eat together.(ママ、ごはんできたよ。一緒に食べようよ)」とユーリがスツールの背後からあたしのお腹をぎゅっと抱きしめてくる。


「July, Mom's still at work. Let's eat with Yukari.(ユーリちゃん、ママまだ仕事中なの。ユカリと一緒に食べましょう)」と紫利さんが言ってくれたが


「No,I want to eat with Mom.(ヤダ。ママも一緒に食べたい)」とユーリはさらに強くお腹に巻き付いてくる。


イヤイヤ期と言うのかしら、こういうことを言い出すのは。普段は聞き分けがいいのに。たまに小さな我儘を言うようになってきた。まぁ取るに足らないぐらいだが。


「July.(ユーリちゃん)」と紫利さんが困ったように必死に止めようとしてくれるが、事実最近仕事が立て込んでいてユーリにあまりかまってあげてなかった。寂しさの表れなのだろうか。せっかくマックスがユーリをあたしの託してくれたのに、こんなの本末転倒だ。


「OK, Let’s eat together. Yukari's cooking is so good, I might just have seconds.
(分かったわ。一緒に食べましょうね。紫利さんの料理は全部おいしいからママお代わりしちゃうかも)」と振り返りユーリのサラサラの後頭部を撫でると、ユーリは満足そうに笑った。


「Dinner with Mom!(ママとごはん!)」


よっぽど嬉しかったのかユーリはリビングを走り回っている。