その日は、眠れなかった。
相談したいことって何?いいこと?悪いこと?
『もう一生、元に戻ることはありません』とか宣言されたら?俺はどうすればいいのだろう。
不安と嬉しさ半分半分と言ったところか、おまけに拾った子猫が俺の胸の上に乗ってすやすやと寝息を立てているから、寝返りさえ打てず、俺は殆ど寝ることができずそのまま朝を迎えた。
猫はたった数時間だというのにかなり俺に懐いていて、俺が移動する度怪我をしている脚を引きずりながらひょこひょこついてくる。
まるで「置いて行かないで」と言われている気がして、何だか不憫になる。
「一人にしないから大丈夫」と言う意味で抱き上げると俺の胸の中ですりすりと頬ずりをする子猫。
この日の朝も抗生剤入りのミルクを飲んでくれた。ネットで色々調べると生後一か月だったら柔らかいキャットフードもいけるみたいだ。今日瑠華と会った帰りに買って帰ろう。
「毎日ミルクだと味気ないだろうしな~」とぺろぺろとミルクを舐める猫の頭を撫でると、猫は「にゃぁ」とこれまた可愛く鳴いた。
しかし瑠華と約束の時間が迫って来ると、出かける準備を初め、また一人にされるのか悟ったのか不安そうな猫が俺の足元に付きまとってくる。
「ごめんな。少しでかけてくるけどすぐ帰る(つもり)だから」と言ってゲージに入れ、俺は「にゃぁにゃぁ」と鳴く猫を名残惜しそうに見下ろし、家を後にした。
瑠華との待ち合わせ場所は江戸川区のファミレスだった。俺のマンションから車で45分と言う所だ。少し早めに出たがやはり休日とあって道が少し混んでいた。何とか時間ギリギリに間に合ったものの開口一番『遅い』とか言われたらどーしよう、焦あせと指定されたファミレスの中に入り瑠華がどこに座っているのかきょろきょろと視線を巡らしていると
ドンっ
とまた足元に誰かがタックルするように巻き付いてきた。
もしかして……じゃないけど、こないだスーパーで会ったユーリ?縁があるな、こんな所でも会うなんて。と思って視線を下ろすと巻き付いてきた子は
「Dad!」と可愛らしい声を発し、よく見るとそれはこないだのゆーりじゃなかった。淡い栗色の髪はふわふわと長く肌は雪のように白い。眼もどこか栗色をしていて大きい。ピンク色の頬と唇がすっげぇ可愛い子だった。でもこの顔どこかで見た気が……
「July! I told you not to run! Don’t just go off on your own.
(ユーリ!走っちゃダメって言ったでしょ!勝手にどこかへいかないで)」と聞き慣れた声が聞こえてきて顔をそちらに向けると、俺に巻き付いている子供と顔が似通っている
瑠華―――
が走ってきて、瑠華も俺を見ると目を開いた。



