Fahrenheit Ⅳ



猫はミルクを飲み終えると、ごろごろとその場で寝そべった。


「あー、そんな寒い所で寝たら風邪ひく。こっちにこい」と俺はソファに連れ行き、ブランケットをかけてやると再び「にゃぁ」と小さく鳴き満足そうに目を閉じた。一瞬、死んだのか心配になったが寝息が聞こえてきて安心した。


猫はグレーと白の縞模様をしていて、血統があるわけではなさそうだったが、こうやって眺めていると安らかに眠る猫が可愛く見えてきた。


大人しい気質なのか殆ど寝返りも打つこともせず寝相もいい。


探している人物がいるかもしれないから一応この子の写真を撮って病院に飾ってもらったが、希望は薄いという。


そうしたら俺が飼うことになるのか??


まぁうちはペット禁止じゃないしいいだろうが。


俺、ペット飼ったことないぞ??大丈夫かなぁ。不安になりながら子猫をつつくと猫はくすぐったそうにちょっと身をよじった。


そのときだった。


TRRRR……


電話が掛かってきた。


どうせ裕二からだろう。暇つぶしか?昨日俺が綾子との仲を邪魔したからその愚痴か?


とちょっと憂鬱な気分で携帯を取り上げるとディスプレイに♥瑠華♥となっていて


へ!!?


な、何で!!!


俺はあまりの予想外の着信にどうすればいいのか分からず手の中でしばらくの間携帯が躍っていた。


その音で起きたのか猫は俺の膝にちょこんと前脚を乗せると、珍しいものでも見るように携帯を眺め上げている。猫の頭を撫でると猫はぴょんとジャンプして俺の膝に乗った。


その間にも電話は鳴り続けている。


あまり長く待たせると切れちまうかも。


「は、はい!」


慌てて出たからかな、声が変な風に裏返った。


『突然すみません。今お時間大丈夫でしょうか』と相変わらず他人行儀な物言いで言われ


「うん、大丈夫」と俺の声が小さくなるのが分かった。


『実は、少し相談したいことがありまして、明日少しお会いできませんか?』


へ!!!?


瑠華の申し出に再び携帯が手から落ちそうになった。