虐げられた呼人の姫は幸せの王子の至上の愛に溺れる

『雫。あのね』

お姉ちゃんが私に語りかけた。私はそれに応えようと、しっかりとお姉ちゃんを見た。

『呼人の中には、階級がいるでしょう?私と雫は、下級なの。下よ、下』

下。

その言葉の、軽さと、重さ。

軽く胸をかすり、重く胸にのしかかる。


『だけど、お父様とお母様と一花は、中流。これは、雫も分かると思う。血は繋がっていても、なぜだか階級が違う』

『で、虐められたのよね』

私は頷いた。ちょっと言葉を挟みたくなったけれど、お姉ちゃんの一挙手一投足、一言一句を逃したくなくて、黙っていた。


『それに耐えられなくなっちゃったの、私。……今まで黙ってきて、自分の感情を押し込んできた』

私も、そうだ。

『怖いこと、楽なこと、思いついちゃったってわけ。雫には、あんまりこの言葉使って欲しくないけど、『なんだ、この世から消えれば良いことだなあ』って』

っ。

私は息をひゅっとのみ込んだ。

消える。なんで消えるのよ。




『バカァァァァァァッ!』





私は自分が言った言の葉が信じられなかった。

初めて、バカなんて汚い言葉、使った。


自分で自分に失望した。


それでも、お姉ちゃんは淡々と、続けたのだ。


『私は、弱虫。だけどね』




『それでも。だとしても。強い人だって思いたい』



『絶望の中、全力でもがいて、全力で見つけ出そうとする気持ちが、希望なんじゃないかって、思うんだよ』



『お姉ちゃんはここで死んじゃうよ。雫は、生きて。ただ体で生きるんじゃない。心で、生きて』



『雫、大好きだよ——』