騎士団長は天才魔石職人を手放さない

 アルバートとドミニクが身支度と朝食を済ませたころ、店の扉が叩かれた。

 ドミニクが肩を震わせたが、アルバートは大丈夫だと笑ってみせた。


「俺の部下だ。イヴの居場所がわかったんだろう」


 扉を開けると、三名の武装した兵士が敬礼した。


「お待たせいたしました、団長。イヴ殿の所在でございます」


 見せられたメモに目を落とし、アルバートは小さく頷いた。兵士はマッチを擦ってメモを焼く。


「彼を頼む」


 アルバートの指示に、台所を片づけていたドミニクが駆けてきた。


「オレも行きます」

「危険だからダメだ。また君が人質にされては目も当てられない」


 唇を噛むドミニクに、アルバートはふっと息を吐いて腰を落とした。


「連中はあの二人だけではない。別の部隊がここにきてイヴの作品を盗み出す可能性がある」


 ドミニクの目が見開かれた。アルバートは微笑んで続けた。


「俺の部下を数名、君に任せる。触ってはいけないものや侵入経路などを彼らに指示してほしい。それと、俺が発ったら工房内の魔石結界の再起動も頼む。君ならできるだろう」

「……わかりました。オレは先生の工房を守りますから、団長さんは先生をお願いします」


 アルバートは手を差し出した。

 ドミニクがその手をしっかり握って頷くのを確認し、アルバートは工房を出た。

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