騎士団長は天才魔石職人を手放さない

 王国騎士団団長アルバートは、届いたばかりの篭手を装備し、剣の柄に手をかけた。

 篭手の甲と剣の付け根には、アルバートの瞳と同じ濃い空色の魔石がはまっている。

「盾、構え!」

「イエッサー!」


 兵士たちが大盾を構えてずらりと並んだ。

 アルバートは剣を抜き、構える。



「行くぞ!」


 低い声が訓練場に響き、兵士たちが盾の向こうで腰を落とした。
 
 ――剣が空気を裂いた。


「……っ! すまん、大丈夫か!?」


 中央三名が衝撃で後ろにひっくり返った。

 慌てて駆け寄るアルバートの後から、エプロンに作業着姿の小柄な少年が、藍交じりの灰色の髪を揺らしながらバインダー片手にゆっくりと付いて行く。


「すみません、本気でやってもらえませんか?」


 少年特有の高い声に、盾の傷を確認していた兵士たちが顔を引きつらせてアルバートを見た。アルバートは口ごもりながら少年に向き直った。


「なぜ、本気ではないと?」


 少年は悪びれもせずに高い声で答えた。


「先生の新作が、その程度の威力なわけないじゃないですか」

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