結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「婚活なんてしなくたって、私は結婚できるわ。わかったわ。謝れって言うなら謝るわよ。ごめんなさい!」

 そう叫ぶなり、亜里沙は踵を返し、逃げるようにサンルームを後にした。

「これで少しはお灸を据えられたかしら」

 静けさを取り戻したサンルームで、母は優雅な仕草でティーカップに口をつけた。



「お夕食も一緒にしたかったけれど、今日はさすがに仕方ないわね。ご両親によろしくね」

 しばらく滞在した後、名残惜しそうな母に見送られ、迅は透子とともに屋敷の玄関を出た。

「亜里沙のせいで、また君を嫌な気持ちにさせたな」

 敷地内の駐車場へ向かいながら迅は、隣を歩く透子を気遣う。

「いえ、私も言いたいことを言っちゃいましたから」

 透子はスッキリとした表情で前を向いている。

「たしかに、君はここぞというときは黙ってないからな」

 初めて会った日を思い出しながら、迅は彼女の顔を覗き込む。

「……もう、あれ、いまだに反省してるんですから」

 困ったように視線を外す透子はかわいくて抱きしめたくなるが、今は手を繋ぐだけで我慢する。