結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「さすが俺の婚約者だな。頼もしい」

 そのとき、サンルームの入口から聞き慣れた声が響いた。


 ***


 日曜の午前中、自宅で残務を片付けた迅は、スーツに着替え、車で実家に向かっていた。

 これから透子の実家に結婚の挨拶にいくという大事な用事があるのだが、一旦屋敷に寄って透子をピックアップする必要がある。

(どうしても透子に紅茶を振舞いたなんて……母さんにあまり、透子に構いすぎないように言っておかないとな)

 ハンドルを握りながら、迅は軽くため息をつく。透子が嫁にくるのが嬉しいのはわかるが、ほどほどにしてもらわないと彼女が気疲れしてしまう。

 やっと思いが通じて結婚に向かい始めたのだから、あまりちょっかいをださないほしい。

(しかし、まさか亜里沙が透子に嘘をついていたとは……しっかり反省してもらう必要があるな)

 迅が亜里沙を好きで、結婚したがっているなんて、よく言えたものだ。当時縁談に乗り気だったのは亜里沙の方で、迅はすぐに断ったというのに。

 幼馴染でそれなりに気安い関係だが、両親に甘やかされて育ったわがままな亜里沙を適当にあしらってきただけで、特別な感情を抱いたことは一度もない。