結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 亜里沙は透子が座っているのを見て、不快感を露にした。

「なんでって、透子さんは迅のお嫁さんだもの」

 詩乃にあっさり返されて、亜里沙は透子を睨んだ。美しい分、憎々し気に歪んだ顔は迫力があって恐ろしい。

「ねぇ、亜里沙ちゃん。あなたは親友の娘だから、わが子のようにかわいがってきたわ。でも、嘘はダメよ」

 詩乃は静かに続ける。どうやら、亜里沙が透子についた嘘を知っているようだ。透子は話した覚えがないので、迅が伝えたのかもしれない。

「おばさま……」

 亜里沙の表情に明らかに〝しまった〟と言う焦りが浮かぶ。そもそも、透子にあそこまで言って、伝わらないと思っていたのがおかしいのが。

「ちゃんと謝りなさいね。そのためにあなたをここに呼んだの」

 さすが真壁家の女主人というべきか。詩乃の声は穏やかなのに、有無を言わせない迫力があった。

(顔はあまり似ていないけど、やっぱり迅さんのお母様だ……)

 透子が妙なところで感心していると、押し黙っていた亜里沙が口を開いた。

「納得できない」

 彼女は開き直ったように顎を上げる。