結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「ま、前から思っていたんですけど、迅さんは女性を褒めるのが上手ですね」

 恥ずかしさをごまかすように言うと、迅はわずかに眉をひそめた。

「俺が仕事以外で女性にお世辞を言う男に見えるか?」

「え……」

 即座に返ってきた低い声には、不満げな響きが滲んでいた。

 たしかに、迅は愛想よく女性を口説いたり、場を盛り上げるためだけに甘い言葉を並べたりするタイプではない。むしろ必要以上のことは口にせず、興味のない相手には淡々と対応する。

 それなのに、最初のデートの頃から、迅は何度も透子を『綺麗だ』とか『かわいい』とか、まるで当たり前のように口にしていた。
 てっきり、上流階級の男性特有のスマートな振る舞いなのだと思っていた。けれど、それがお世辞でも社交辞令でもないのだとしたら。

(じゃあ、全部……本気だったの?)

「俺はいつも透子が綺麗でかわいいと思ってる。今は、煽られすぎて困っているがな」

 追い打ちを掛けられて、胸の奥まで一気に熱くなる。

 恥ずかしさに耐えきれず、透子は身をよじるようにして顔を背けた。

「こら、隠すな」

 だが、すぐに手首を取られ、仰向けに戻されてしまう。