結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 短く問われ、透子は正直に答える。未知の行為に対する躊躇は、もちろんあった。

 けれど、それ以上に、好きな人に触れられることへの期待で、胸がいっぱいになっているのも事実だった。

「でも、迅さんなら、怖くないです……ふふ、言ってることおかしいですね」

 透子が笑みを零すと、迅は驚いたように目を見開き、そのあとゆったりと細めた。

「そうだな、透子が恋をするのもキスをするのも、それ以上のことをするのも俺が初めてで、俺だけだ」

 そう言いながら迅は覆いかぶさり、耳元で囁いた。

「優しくする。俺に委ねて」

「はい……んっ」

 耳朶に口づけが落とされ、首筋をくすぐるように唇が這う。さらに重ねられるキスは、どれも優しく、まるで壊れ物に触れるようだ

 いつも強引な迅が、今は細心の注意を払うように透子へ触れている。それが、たまらなく愛しくて、透子の胸は熱を帯びる。

 迅は、透子が身に着けているものをひとつずつ丁寧に外していった。

「――ああ、綺麗だな」

 ほとんど何も纏っていない透子を見つめながら、迅は熱を含んだ吐息を漏らす。

 その視線にさらされるだけで、鼓動がまた速さを増していく。