結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 後頭部を引き寄せられながら、口内を丹念に弄られる。猛烈に恥ずかしいのに、徐々に蕩けるような甘い感覚がせり上がってきて、透子は迅のシャツを縋るように握る。

 恋愛初心者にはとても太刀打ちできないような巧みな口づけに翻弄され、ようやく唇が解放されたときには、透子の身体からはすっかり力が抜けていた。

「は……」

 熱を帯びた余韻に肩で息をしながら、呼吸を整えていると、迅の葛藤するような視線が注がれる。

「無理はさせたくない。でも、俺はもっと、君に触れたい――いいか」

 整った顔立ちが切なげに揺れている。そこには、透子を求める男の欲が滲んでいた。

 息が止まるような大人の色気を向けられてしまえば、彼に恋をしている透子が、それを拒むことなどできるはずもない。
 透子は頬を熱くしたまま、小さくうなずいた。


 モダンでセンスのいい調度品が置かれた室内は広く、落ち着いた雰囲気で、いかにも彼らしい寝室だった。

 その部屋のキングサイズのベッドの上で、透子は迅に組み敷かれていた。

「やっと、君を抱ける――最後の最後までお預けされたが」