結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「ええ。持田さんにお願いがあったんです」

 石井は薄い笑みを浮かべたまま、ゆっくりこちらへ近づいてくる。

「せっかくだし、中で話しません? 〝婚活界の魔女〟にも会ってみたいですし」

 その笑顔の奥に、どこか嫌なものを感じて、透子は無意識に身構えた。

「すみませんが、お約束のない方はお通しできないんです」

 すると石井は、わざとらしく肩を落として大げさにため息をついた。

「ケチだなぁ……。じゃあ、ここで話しますよ。僕をここで婚活させてくれませんか?」

「うちでですか?」

「そう。でも費用は払いたくない。僕には、その資格がありますよね? せっかく、金払いのよさそうな相手が釣れて、うまくいったと思っていたのにあなたに邪魔されたんですよ。責任取ってその分サービスしてください」

 あまりにも身勝手な言い分が止まらず、透子は言葉を失った。

 そもそも、費用を払わずに結婚相談所で活動するなどありえない。

 それに、結婚相談所は誰でも入会できるわけではなく、必ず審査がある。特にマリアージュ・アクシアは、他社より基準が厳しい。