結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「あー、伯父さん、だいぶ出来上がってるな」

「無視したいが、相手しないとかえって面倒になるな」

 恭弥がやれやれといった声を出すと、迅もそちらへ目を向け、小さく息をついた。

「透子、疲れただろう。すぐ戻るから、なにか食べながら待っていてくれ」

「あの、伯父様ですよね。まだご挨拶していないのですが、いいんですか」

「あの人、ひどい絡み酒なんだ。今は君は近づかない方がいい」

「……わかりました」

 透子が苦笑してうなずくと、迅は安心させるように軽く肩へ触れたあと、恭弥と共に伯父の方に近づいていった。

(お母さんも弟さんも、いい方だな……迅さんのこと、本当に大切に思ってるんだ)

 詩乃が過剰なほど結婚を急かすのも、恭弥が安心したように笑っていたのも、迅を心配しているからなのだろう。

 そして、それは透子も同じだった。

 一緒に暮らすようになってから、迅の忙しさは嫌でも伝わってくる。

 本人は『一時期よりはマシだ』と言っていたが、深夜まで仕事をしていることも珍しくないし、出張も多い。
 疲れているはずなのに、透子の前ではそれを見せまいとするところまで含めて、余計に心配になってしまう。