結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「気にしないで。忙しいのに来てくれてありがとう。さっき、お母さまとは挨拶したわ」

「おばさまの誕生日パーティですもの。何があっても駆けつけるわ。それに、迅にも会いたかったし。仕事の合間を縫って連絡してあげてるのに、そっけない返事しかくれないんだから」

「俺だって仕事が忙しいんだよ。わかってるだろ」

 迅は呆れたように返す。けれど、その声音には突き放す冷たさはなく、親しみと気安さが滲んでいた。

 その様子にいつか迅が電話をしていた相手が〝亜里沙〟だったと思い出す。

(よく連絡取りあうくらい、仲がいいんだ……)

 あのときと同じように、透子の胸が小さくざわつく。

「もう、つれないんだから」

 亜里沙は拗ねたように唇を尖らせたあと、ふっと艶やかに笑って迅を見上げる。だが次の瞬間、視線が透子へ向く。

「迅、この人は?」

 亜里沙が透子を見たまま問いかける。その視線には探るような鋭さがあった。

「ああ、俺の婚約者だ」

 迅が迷いなくそう答えた瞬間、亜里沙の表情がぴくりと強張ったのがわかった。