結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

(芸能人御用達の有名ヘアメークアーティストを自宅に呼ぶなんて、本当に出来るんだな)

 普段なら選ばないような色味も自然に肌に馴染ませてくれて、仕上がったとき別人かと思ったほどだ。

 しかも、ただメイクを施すだけでなく、『普段ならこうすると使いやすいですよ』と、日常のメイク方法まで丁寧に教えてくれた。

 その間、迅が横で『なるほど、そういう使い方もあるんだな』と熱心に見学していたのが少しおかしかった。

(なんにしても、引き受けるって決めたのは私なんだから、やりきろう)

 透子は改めて自分を叱咤した。

 会場はパーティ仕様に開放した一階の大広間だった。

 立食パーティ形式で、中には大勢の人たちが談笑していた。誰もが着飾っており、会場内はきらびやかな空気に満ちている。

 今日は迅の母の親戚や友人、出資している企業の関係者などが招待されているという。

「あそこに立っているのが母の詩乃(しの)だ」