結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「CM? 迅さん、私は素人、一般人です……!」

 いくら社長の婚約者役といっても、そこまではする必要なないのでは。

 目を白黒させながら止める透子を意に介さず、迅は上機嫌にスマートフォンを手に取り、なにやら操作し始めた。

「透子はただでさえ綺麗なんだから、プロに任せたら驚くほどの仕上がりになりそうだな」

「綺麗って……」

 さらりと褒め言葉まで混ぜ込まれ、透子は思わず言葉に詰まる。

 本人はまったく照れた様子もなく、本気で言っているから余計に困る。

 結局迅は、透子の制止などまるで聞いていない様子で、手際よく手配を済ませてしまった。


 それから半月後、透子は迅にエスコートされながら、真壁家のエントランスに向かっていた。

 屋敷は白金台の奥まった高台にあり、広い敷地を高い石壁とアイアンゲートが囲っている。その向こうに広がる木々の緑は、都心にいることを忘れさせるほど深い。

 白い石材を基調にした邸宅の外観は、ホテルのように洗練されているのに、どこか歴史ある洋館の重厚感も漂わせている。

 長いアプローチの両脇には柔らかなライトが灯り、手入れの行き届いた噴水が静かに水音を響かせていた。