結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「ファンデーションやチークの色味は、君に似合いそうなものを俺がいくつか見立ててある。アイシャドウはいつも使っているのに近いから使いやすいと思う。このチークは粉体を細かくしてあえて発色を抑えてある。塗りすぎの失敗もしずらいし、重ねることで血色のコントロールがしやすい」

 成分や質感、発色の違いまで淀みなく口にする様子は、まるで一流のビューティーアドバイザーのようで、透子は思わず目を瞬かせた。

(すごい……ちゃんと商品の細かい知識まで把握してるんだ)

 以前、最新のメイクを学んでいると言っていたが、自社製品について、ここまで細かく把握しているとは思っていなかった。
 彼の口調からは、適当に見繕ったわけではないことが伝わってくる。

(ひとつひとつ、私のことを考えながら選んでくれたんだ)

 そう思うと胸がキュンと締め付けられる。

「こっちはパーティ用。クリスマス用の限定品だが、このアイシャドウのグリッターは華やかであのドレスとよく合うはずだ」

 迅が開いて見せたアイシャドウのパレットは光の角度で繊細に色が変わり、見ているだけで気分が高揚してくる。

「でも、いいんですか。こんなにたくさん」