結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 中央のダイヤモンドを取り巻くように小さなダイヤが繊細に敷き詰められている、いわゆるハローセッティングのものだ。アームにもメレダイヤが連なっていて、華やかでありながら、どこか気品のある圧倒的な存在感があって、自分ではなく迅にふさわしいと思ったのだ。
 それなのに、透子の左手の薬指に収まった輝きを見て迅は『透子によく似合う』と満足げに目を細めるから、透子はまた落ち着かなくなった。

 その後は表参道のブランドショップに連れていかれ、パーティ用のドレス一式を選んだ。

 あれこれと着せ替えられたが、ここでもスタッフや迅の意見に全面的に従った。

 婚活向けの服装には詳しいが、セレブパーティにふさわしいファッションなんて知るはずがない。

(それにしても迅さん、今日、いったい私のためにどれだけのお金を使ったんだろう。口出すことじゃないけど、金銭感覚が合わない……)

 きっとその分、透子は婚約者役として期待されているのだろう。責任の重さを実感して、自然と足が重くなる。